「地球のなぞとき」読み物    
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【特別読み物1】          
  ワタの種も大陸移動の生き証人

 世界で最初に木綿を使っていた国はどこだと思いますか。エジプトで
しょうか。中国でしょうか。インドでしょうか。       
 じつは,インダス川流域で発見されたインドの「モヘンジョダロ遺跡」
(紀元前2500年頃)から,木綿の織物が発見されたのです。今から4500年も
前です。インドは昔から木綿の産地として世界に知られていました。
 15世紀の終わり頃,コロンブスは〈黄金の国ジパング(日本)〉をさがし
に航海に出ました。長い旅の後,やっと1つの島にたどり着いたのです。
すると,その島の人は木綿の布を持っていたのです。コロンブスは,その
島の人が持っている木綿の布を見て「インドの近くに着いた」と思った
のです。でも,じっさいには,コロンブスはアメリカ大陸の東海岸に着い
ていたのでした。
 では,どうしてアメリカ大陸の島にワタの種があったのでしょうか。
1947年に,ハッチンソンという科学者は「ワタの原産地はアフリカだった。
そして,大陸移動の結果,アメリカとインドにワタの種が分かれていった
のだ」と発表しました。すでに,5000万年前に,それぞれの地にワタの品
種が分かれていたというのです。世界各地のワタの遺伝子(いでんし)
(種の情報)を調べていて分かったそうです。アメリカ大陸やインドが,
アフリカ大陸から分かれていったことがここでも確かめられたのです。


【特別読み物2】
 オサムシたちの繁栄も大陸移動のおかげ

オサムシという昆虫を知っていますか。
カブトムシと同じ固い殻(から)をもった甲虫の仲間です。羽根が青緑色
に光ったりして〈歩く宝石〉と呼ばれたりしています。昆虫少あこがれ
の昆虫です。昔の漫画家,手塚治(おさ)虫(む)さんも子どもの頃,このオ
サムシが大好きでした。名前も〈オサム(シ)〉とつけています。
 このオサムシは,羽根が退化していて飛ぶことはできません。それな
のに,世界中にたくさんの種類がいるのです。そこで〈いつごろ,どこで,
多くの種に広がったのか〉を研究した科学者がいます。日本のオサム
シ研究グループの科学者たちです。世界のオサムシの遺伝子(いでんし)
をしらべて,今のオサムシが生まれてきたルーツを探ったのです。
その結果,〈オサムシの種が世界中に広がったのは,大陸移動のためだ〉
ということが分かってきました。
 どうしてだと思いますか。
 じつは,オサムシの祖先を調べていくと4000万年前と1500万年前にた
くさんの種が増えていることがわかったのです。4000万年前というと,
世界中にほぼ今の大陸が分かれた時代です。1500万年前は,日本列島が
アジア大陸からはなれた時代です。大陸が分かれると,新しい環境がう
まれ,新しい環境にあった生物が種としてできてくるのだそうです。
昆虫研究からも大陸移動説が確かめられたのです。

【特別読み物3

    日本列島はプレート移動の証 1

 みなさんは,日本列島がいつどのようにしてできたのか

聞いたことがありますか。

 1980年頃,京都大学と神戸大学の研究者たちは,岩石に残っている磁気の北
方向をはかっていました。すると
,こんな不思議なデータが得られたのです。

 左の地図を見てください。東北日本では1500万年前の地球磁石北の方向が西
25度ずれているのです。

今度は西南日本を見てください。どうでしょう。地球磁石北の方向が東へ45
もずれているのです。

その境目は,現在の静岡県浜松市と富山県の糸魚川を結ぶ線で分かれているのです。
もともと一つの日本列島であれば
,岩石磁気が北を指す方向はどこも同じになるはずです。
どう考えたらいいのでしょうか。

科学者はこのように考えています。

今から1500万年前の日本列島は〈糸魚川と静岡を結ぶ線〉をはさんで2つに大きく
分かれていたというのです。

それでは,東北日本と西南日本を切り離し,Nの方向をどちらも北に向けるとどのよう
になるでしょうか。

東北日本と西南日本のN極の方向を北にもどすと右図のようになります。

 つまり,1500万年前の日本列島は,ほぼ一列に並んでいたと科
学者は考えています。今のような弓形ではなかったのです。

 科学者は,日本列島は2000万年前くらいから,アジア大陸から
だんだんと離れていったというのです。そのとき
,糸魚川・静岡
の線で割れ目ができてきたのだそうです。

 そのあとに日本海が入ってきました。

 科学者は,現在の日本海あたりも,少しずつプレートが開きつつあることを
観測しています。
南からの太平洋プレート
,フィリピン海プレートにも押され,これから日本列島は
どのようになっていくのでしょうか。
  

また,北海道誕生物語もおもしろいことがわかっています。

2500万年前の北の海では,北海道らしい姿はどこにも見当たりませんでした。

右の図を見てみましょう。トップページ

2500万年前は,北アメリカプレートの上に三つのばらばらの島(A,B,C)があったと
いうのです。

北アメリカプレートはだんだんと西へ押しています。また,南からは太平洋プレ
ートが北に押しています。また
,北西にはユーラシアプレートがたちはだかってい
ます。

このような所に二つのプレートが押していると,A,B,Cの三つの島はどうなるでし
ょうか。互いに近づきませんか。

1500万年くらい前になると,この三つの島は合体しました。そして,現在の北海道の
姿ができあがったというのです。
そのとき,二つの島に押されて日高山脈ができ
ました。

また,BCの間は合体する前は湿地になっていました。暖かい気候で植物
がよく茂り
,その後に石炭の層ができました。また,A,B,Cの間にあった海は,7000万年
前は
,アンモナイトがたくさん棲んでいたところです。
石炭の湿地とアンモナイトの海をはさみこんで合体したのが今の北海道です。

ですから,北海道には炭鉱が多くありました。また,アンモナイト化石がたくさん採
れる場所もあるのです。
 北海道はプレート移動の証そのものなのです。

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